建築の形: アメリカ現代建築とイェールの建築教育の今

2020.11.21
建築の形: アメリカ現代建築とイェールの建築教育の今

以下イベント告知文より


まず"Architecture"と「建築」の翻訳不可能性について考えてみたい。建築が「間」(≒空間)、内と外の関係性、あるいは環境との調和などを主な問題構制としてきたならば、一方のArchitectureは「オブジェクトとしての建物をどう形作るか?」という「形の歴史」を辿ってきたと言っても過言ではない。これはブルネレスキ、ブラマンテ、パラディオからコルビュジエやルイス・カーン、そしてアメリカを中心とする現代建築家まで地続きの、500年もの厚みを持った議論であると言える。

今回はこの「建築の形」というテーマについて、私が通うイェール大学大学院(YSoA)でのピーターアイゼンマンによる「形態分析」という授業の紹介を通して、その歴史を紐解きながら、スタジオ(設計演習)でのテーマや作品、カリキュラムを紹介することで、アメリカの建築教育やそこでのディスコースを紹介します。最後に12人のアメリカ現代建築家の作品をピックアップし、イメージカルチャー、オブジェクト指向存在論(OOO)、色の理論、ポップポストモダン、プリミティブフォームなど、「建築の形」にまつわる議論の現在地を紹介し、幅広くみなさんと議論したいと考えています。

プロフィール

鮫島卓臣

建築

鮫島卓臣(さめじま・たくおみ) 1995年東京都生まれ。2018年に慶應義塾大学システムデザイン工学科を卒業後、フルブライト奨学生としてイェール大学建築大学院修士課程留学。同大学院を2022年に卒業後、ニューヨークのSHoP Architectsに勤務し現在に至る。設計の傍ら、日本建築学会webメディア建築討論での連載や新建築オンラインでの論考、海外ジャーナルへの論文寄稿など、意匠論の研究や建築批評の活動を継続的に行なっている。