青山ブックセンター選書企画
2023.05.01

現代建築をよむための 40 冊
メニカン ( メニー・カンファレンス ) は建築・都市・デザインに関わる研究者・実践者の共同体です。
これまで、言説による領域横断を重視し、議論の場をつくってきました。
「建築とは何か」という問いはどの時代もつきものですが、「これが建築だ」と思うものに留まらず、「これも建築なのかもしれない」と分野や領域を横断していく姿勢は、価値観の多様化した現代を考えるきっかけになるかもしれません。
今回は、そうした建築という分野と、隣接領域同士との境界線上のプラットフォームとなるような、あるいはまだ定義されていないマージナルな範囲から、「建築的なるもの」をかんがえるための 40 冊を選んでみたつもりです。
メニカンメンバーのそれぞれが考える、選書のテーマは以下の通りです。
ケンチクカとは誰か? ( 谷繁 )
建築家の役割の歴史についての本、旧来の建築家像に抗う新世代の建築家についての本、
十分に語られてこなった女性建築家についての本、建築家以外の主体・建築を作る職人についての本。
建築の大きさ ( 福留 )
建築(またはその周辺)についての、厚い本/薄い本、小さい本/大きい本、細長い本/幅広い本、など、
さまざまな「本のかたち」とそのなかに見いだせる建築を含む 3 つの大きさ。
周縁という実験場 ( 橋本 )
主流のうらに見えがくれする周縁・傍流の実験的な側面。
建築と都市:時間差の演劇 ( 楊 )
都市と政治、形式と時間、建築の外部...過去・現在・未来を束ねる時間をパフォーマンスとして読む。
建築のイメージ:短編・ウィーン・デッドパン ( 寺田 )
建築的な想像力を喚起させ、現代建築を読むヒントを与えてくれる本。
「SF を創作すること」から都市を考えること ( 中村 )
都市の想像力を、 SF のような物語の束と重ね合わせてかんがえること。
これらの書籍をよむことで、少しでも建築の現代性をひもとくきっかけになればと思っています。
プロフィール
橋本吉史
建築、歴史
建築家・建築史家。⼀級建築⼠。1992年千葉県⽣まれ。2015年に東京藝術⼤学美術学部建築科を卒業後、国内外の設計事務所に勤務。2018年、東京⼤学⼤学院⼯学系研究科修⼠課程⼊学。現在は同博⼠課程にて建築史研究を続ける。2024年、個⼈設計事務所開設、HYPER RESORT株式会社パートナー。
谷繁玲央
建築
1994年愛知県生まれ。2023年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程修了。博士(工学)。専門は建築構法、建築理論、ハウスメーカーによる工業化住宅の構法史・商品史。既存建築再生のための調査・改修設計に従事。東京大学特任研究員兼務。個人として建築に関する批評活動を行っている。
中村健太郎
建築、デザイン、都市
研究者・プログラマ。1993年大阪府生まれ和歌山県育ち。情報技術とデザイン・建築・都市の関係に関心。2016年慶應義塾大学SFC卒業後、NPO法人モクチン企画(現CHAr)ソフトウェアエンジニア、東京大学建築学専攻学術専門職員を経て、現在東京大学学際情報学府博士課程在学中。共訳書に『スマート・イナフ・シティ──テクノロジーは都市の未来を取り戻すために』(2022, 人文書院)。