Many Kitchens vol.1
2020.05.04

巻頭言より
これまであらゆる建築にまつわる事象を議論の俎上に載せてきたメニカン(メニー・カンファレンス)では、今回「台所」をテーマに掲げ、zine をつくることにした。つくりはじめるにあたり、まずは第一号として、各々が考える台所にまつわるトピックをひとまず並べてみることにした。この zine はいわば「食材の並ぶまな板」である。
そしてなぜそれらのトピックを選んだのか、選者に論考をお願いしている。なんとなく各自の「食べたいもの」はそこから伝わってくるだろう。しかし出来上がる料理のレシピはまだない。調理道具もまだ揃っていない。これから議論を通じて、われわれに何がつくれそうか考えてみようと思う。
レシピの見当がついたら、必要な道具・設備を揃えて、調理をはじめてみよう。食べられるところは残し、不要な部分はコンポストに投げ入れる。メンバーの得意・不得意もある。どんな料理がうまれるかは、われわれの想像力次第である。
そして出来上がった料理を前にして、これからの「キッチン」がどういうものになるのか、考えていければと思っている。
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プロフィール
中村健太郎
建築、デザイン、都市
研究者・プログラマ。1993年大阪府生まれ和歌山県育ち。情報技術とデザイン・建築・都市の関係に関心。2016年慶應義塾大学SFC卒業後、NPO法人モクチン企画(現CHAr)ソフトウェアエンジニア、東京大学建築学専攻学術専門職員を経て、現在東京大学学際情報学府博士課程在学中。共訳書に『スマート・イナフ・シティ──テクノロジーは都市の未来を取り戻すために』(2022, 人文書院)。
楊光耀
建築
建築設計・都市計画。93年生まれ。主に都内での公共施設の設計に携わるかたわら、いくつかの委員会に所属しながら、建築の内外を通して都市や公共についての思索と施策に取り組んでいる。その他にも小作品やテキストを通して複合領域での建築の画策を試みている。
橋本吉史
建築、歴史
建築家・建築史家。⼀級建築⼠。1992年千葉県⽣まれ。2015年に東京藝術⼤学美術学部建築科を卒業後、国内外の設計事務所に勤務。2018年、東京⼤学⼤学院⼯学系研究科修⼠課程⼊学。現在は同博⼠課程にて建築史研究を続ける。2024年、個⼈設計事務所開設、HYPER RESORT株式会社パートナー。
谷繁玲央
建築
1994年愛知県生まれ。2023年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程修了。博士(工学)。専門は建築構法、建築理論、ハウスメーカーによる工業化住宅の構法史・商品史。既存建築再生のための調査・改修設計に従事。東京大学特任研究員兼務。個人として建築に関する批評活動を行っている。