エマージェンシーからエマージェンスへ:Structural Study Associatesと1930年代アメリカの建築/社会
2021.03.20
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以下イベント告知文より
1932年という年は、アメリカ合衆国の建築/社会両面における一つの転機をなしている。すなわち、建築文化の面ではMoMA「近代建築」展によってヨーロッパの近代運動が大きく紹介される一方、社会的には大恐慌による景気悪化がピークに達し、翌年3月にはニューディール政策が開始することになる。こうした変動のさなかに建築界に姿を現し、短命ながら活発な議論を展開したのが、バックミンスター・フラー率いる建築家団体Structural Study Associatesである。「近代建築」展で提示された「スタイル」としての近代建築理解を批判し、恐慌という「緊急事態(emergency)」の中にユートピアへと向かう「発生(emergence)」の兆しを読み取る同団体の議論を振り返ることで、社会的危機の中での建築/建築家の役割について考えてみたい。
プロフィール
印牧岳彦
建築、歴史
1990年福井県生まれ。建築史研究。2021年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程修了。博士(工学)。神奈川大学建築学部特別助教。 著書に『SSA:緊急事態下の建築ユートピア』(鹿島出版会、2023)、共訳書にハリー・F. マルグレイヴ『EXPERIENCE:生命科学が変える建築のデザイン』(鹿島出版会、2024)など。