バラック装飾社とアマチュアリズム
2019.05.26
以下イベント告知文より
今和次郎やバラック装飾社がおもしろいのは、その活動の射程が現代へと届いているからである。
藤森照信氏をはじめ、後代の研究者がさかんに彼を研究したのは、まさに現代の視点から近代を眺めるため、もしくは現代の課題を近代にみつけるためであっただろう。
本レクチャーではバラック装飾社に焦点を当て、歴史の記述と記述される対象の相互関係を整理していく。
その過程で、建築における「アマチュアリズム」が考察のキーワードとして浮上するとともに、建築をめぐる現代的関心と近代固有の問題との差異、または歴史化の過程で生じる脱落が明らかになる。最終的には「建築家」の職能が拡張・希薄化して久しい現代へと、議論の場がひらかれることを目指したい。
プロフィール
木原天彦
建築、美術、歴史
1992年東京生まれ。東京藝術大学美術研究科博士後期課程。2019年より渋谷区立松濤美術館学芸員。専門は日本近現代美術史/建築史。近代以降の大衆社会を背景とした前衛芸術・建築と生活文化との相互浸透について関心を寄せ、今和次郎や白井晟一、近年は建築評論家・川添登についての調査研究に取り組んでいる。展覧会企画に「白井晟一入門」展(平泉千絵と共同企画/渋谷区立松濤美術館、2021年)、論考に 「川添登研究の方法的課題」(『渋谷区立松濤美術館年報26号/紀要1号』渋谷区立松濤美術館、 2024年 )など。